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Panic Blog

5月 10th, 2021

お忙しい方のために、以下に要約を:

  • iOSアプリ「Code Editor by Panic」を終売します
  • アプリ本体はまだまだ機能しお使い頂けますが、開発は終了しアップデートは提供されません
  • 2021年3月10日以降にお求めで返品を希望される方は、お手数ですがお知らせください
  • iOSアプリ仲間のPromptについて、こちらは新バージョンを開発中です!

Code Editor — “Diet Coda”という名前で2010年にデビューし、その後”Coda for iOS”に名前を変えた、フル機能が搭載されたパワフルなiOS用のテキストエディタです。カーソルの位置をより正確に配置するための”スーパールーペ”機能や、Sidecarが標準搭載されるよりもずっと前に”iPadプレビュー”機能が搭載されるなど、革新が満載されていました。外出先で、誰もが使用できるiOS用の優れたコードエディタを提供することが我々のゴールでした。

Transmit iOSやStatus Boardといった私たちの過去のiOSアプリと同様、開発を継続できるほどの収益が生み出されないため、 残念ながら開発を終了します。

大きな理由は上記ですが、その背景についてもまとめてみます。

なぜ?その理由

今回のこの決定に失望した皆さん、本当に申し訳ありません。しかしその決定に至る背景がありました:

2007年にMac用コードエディタであるCodaをリリースし、その後の数年でウェブ開発のプロセスは劇的に変化し、その変化に製品はすばやく対応していく必要がありました。そのため、より最新のワークフローに対応させたNova for Macを開発し、Coda 2の後継製品としての拡がりを見せています。(ここで言うCodaと、他社製品のCodaを混同しないでください。今日のCodaは私たちが開発したものではありません。)このウェブ開発ワークフローの変化が、iOSアプリにも影響しました。

現在、かなりの数のウェブ開発者がTypeScriptやJSXなどのテクノロジーを使用しています。そしてこれらではプレビュー前に、ビルドまたはコンパイルを必要とすることが良くあります。このプロセスをCode Editorで行うには別のアプリを利用し、リモートでコンパイラーを個別に実行する必要があるという、非常に面倒なものでした。

そのため時が経つにつれCode Editorを活用するウェブ開発者が減り、売り上げは減少しました

ならNova for iOSを作っては?

現時点でNovaをiOS用に移植する予定はありません。どのように機能するのかを実際に想像するのが難しいためです。

Novaをリリースしたことにより、今日のウェブ開発環境がどれほど技術的に多様かを再認識させられました。もう永らく使われていないと思っていたライブラリやテクノロジーへのサポートリクエストがある一方、聞いたことも無い全く新しいフレームワークへのリクエストもありました。ウェブ開発ワークフローを取り巻くテクノロジーは急速かつ継続的です。これが最新のウェブ開発に焦点を合わせたIDEにとって、柔軟な拡張システムの搭載が不可欠である理由です。しかし、そこに問題があります。

最大の技術的ハードルは、iOSとiPadOSで外部プロセスを実行できないことです。それを回避する方法はありません。しかし最新のウェブ開発環境には必要です。例えばTypeScript機能拡張。これは現在Novaで最も人気のある機能拡張のひとつで、TypeScriptコンパイラーを起動して実行します。コンパイラーをNovaに組み込むことはできますが、未来を予測して可能性あるそのようなツールを全て、予め組み込んでおくことはできません。Babel、Webpack、そしてESLintなどは言うまでもなく、存在するほぼ全てのプログラミング言語用のコンパイラー、インタプリター、言語サーバーをバンドルする必要がありますがバンドルされたものはすぐに管理できなくなり、常に最新バージョンに遅れを取ることになります。

それでもバンドルするとして、しかし今度はApp Storeのポリシー違反の可能性があります。iOSおよびiPadOSアプリはAppleのJavascriptインタープリターであるJavaScriptCoreを使用する必要があります。JavaScriptCoreは素晴らしいですが、多くの開発ツールはGoogleの V8 JavaScriptインタープリターの独自機能に依存しています。同様に、iOS上でのウェブレンダリングエンジンはWebKitのみが許可されています。

それでもなお、これら全ての制限を回避するための技術的巧妙な方法を見つけたとして、そのアプローチをAppleのレビューワーが許可するかは未知です。最終的にリジェクトされてしまったら、膨大な時間と投資が無駄になってしまいます。

であれば控えめな、Appleの新しいファイルプロバイダーテクノロジーを活用したテキストエディタを私たちはデザインしてみました。少なくともローカルファイルサポートを提供する堅牢なコードエディタを生み出すことができます。しかし結局のところこの架空のアプリは現代のウェブ開発者のニーズを満たせず、またこの分野に焦点を当てている他者のアプリとの激しい競争に直面している、と私たちは結論付けました。

しかし、ご存知の通り私たちはものづくりが大好きで、諦めが悪いです。今回の決定は私たちが永久にプロ向けのiOSツールから離れてしまうことを意味するものではありません。常に市場を注視し、変化を感じ続けます。将来、より良い製品を作る方法があるかも知れません。

次に起こることは?

まもなく、Code Editorの販売を終了します。

ですが朗報もあります。Code Editorは当面の間、正常に動作し続けるでしょう。(例として2018年に終売したTransmit iOSを挙げますが、ユーザであれば誰でも現在も利用可能です。)無期限に機能し続けることのお約束はできませんが、劇的なiOSの変化が無ければ想像よりも長くお使いいただけます。

2021年3月10日以降にお求めで、返品を希望される方はお問い合わせください — AppleはApp Storeの購入に関する返品や返金機能を提供していませんが、何らかの方法で必要に応じ、できる限りの対応をさせていただきます。

Promptに関して何かありますか?

いくつかのグッドニュースがあります!

iOS用ターミナル/SSHアプリであるPromptの開発に、引き続き積極的に取り組んでいます。ポケットからデバイスを取り出し、緊急のタスクに迅速に対応できる、まさにiOSにピッタリの製品です。現在、私たちはPrompt 3の開発の真っ最中です。Promptをより良くする、優れた新機能のいくつかをご紹介できる日を楽しみにしています。

私たちのMacアプリに関しては、全員健康で順調です。

Thank you!

開発した製品に別れを告げるのは常に、非常に寂しいです。この決定を下すのに苦しみながら数ヶ月を過ごしました。可能性のある考えられる全てのアプローチについて調査しました。私たちは、私たちのアプリを愛し、信頼してくださるお客様の存在を常に感じています。開発中止の度に、私たちは皆さんを失望させていることを感じています。パニックのお客様、支えてくださる皆さまに感謝申し上げます。これからも変わらぬご支援を賜りますよう、お願い申し上げます。私たちは皆さんが愛する、役立つアプリや製品をお届けできるよう、一生懸命に働き続けます。

PS: Nova for Macはおかげさまで順調です!ぜひチェックをお願いします!Code Editorのコア — 解析エンジン、文法解釈、インデックス化エンジン、書類アーキテクチャ等々 — がNovaの礎となっています。Code EditorはNovaの内部に宿り続けています。

Posted at 4:14 pm “Code Editor”の未来について はコメントを受け付けていません
1月 8th, 2021


新たな年2021年が始まりました!昨年は世界の誰もが計画通りに物事を進めるのが難しかった1年でしたが、私たちPanicは Nova をリリースしPS5向けの新しいゲーム Nour: Play With Your Food をアナウンスし、各種アプリのBig Sur、Apple M1そしてiOS 14への対応を行いました。

今年は昨年を超える超エキサイティングなプロジェクトが進行中ですがその前に、小さなギフトを皆さんに1つプレゼントしたいと思います。

昔々のことですが、私たちは古参Mac用MP3プレーヤーのひとつとしてAudion(オーディオン)をリリースしていました。このAudionがMacの歴史の1ページであったことに感謝し、その歴史を保存しようと努めてきました。昨年3月には Audionのフェイスを、新しい形式に変換して保存できるようにしたことをお知らせしました。

その結果 867 のフェイスの変換が完了し、残りの15 のフェイスの変換に現在、取り組んでいます。私たちの把握しているすべてのフェイスになります。

本日、これらのすべてのフェイスを実際に体験できる機会を皆さんにご提供します。macOS 10.12以降の環境で動作する Audion(簡易版)をリリースします。

Audion.appをダウンロードする

これは簡易版でAudionの本格的な復活ではありません。音声ファイルやストリーム再生が行えますがプレイリストは未実装で、今後のサポート予定もありません。主な目的はフェイスを切り替えて表示させることです。加えて、これらのフェイスがどのように動作するのかを決定するソースコード変換されたフェイスのアーカイブもリリースします。

いくつかのフェイス

フェイスアーカイブの中には何百もの素晴らしいAudion用のフェイスがあります。いくつかは伝統的な音楽プレーヤーのインタフェースで、当時の最新のOS Xに影響されたピンストライプやブラッシュドメタルが溢れています。その他にも大胆な光沢やスキューモーフィズムの影響を受けたフェイスが並びます。このPaul Johnsonによって生み出された「TokyoBay」フェイスはそれら美学の集合として良い例でしょう。光沢あるLCDにはトラック情報が表示されていました。

もちろん、すべてのフェイスがこれらのカテゴリに分類されるわけではありません。Rudluphによる「PP」は、 Y2K Aesthetic Institute にぴったりです:

テーマ機能を搭載する他のソフトウエア同様、Audionも休日をテーマにしたフェイスが人気を集めていました。Andy Pratiotoによる「Bescherung」はトラック再生中の時間表示をクリスマスライトに巧みに置き換え、アニメーション化しました:

Audionのフェイスは、どれも再生中のアニメーションを表示させることで実際に生き生きとしてきます。インターネット接続によるストリーミング再生がサポートされていましたが接続とバッファリングに長い時間がかかる可能性があり、その間UIは静的でした。Audionがフリーズしていないことをユーザに示すため、接続中およびストリーミング中にアニメーションを再生します。多くのフェイスアーティストが楽しいストリーミングアニメーションを作成しましたが、Chris Fayetteによる「Slap Happy」にはチャップリンのThe Cureから、10秒のクリップが含まれていることに驚かされます:

アニメーションが無ければ優れたフェイスとは言えない、ということはありません。Dr. Joseph A. Gardnerによる「StickyAudion」はMac OSに標準搭載されていたスティッキーズに偽装し、メモのテキストにコントロールが隠されていました:

この種のインタフェースは楽しいですが初めて操作するとき、どのように機能するのかを理解するのに1分以上かかることがあります。過去数十年に渡るインタフェース設計はGUIを可能な限り直感的に使いやすいものにすることに重点を置いてきました。これが、テーマ機能を搭載するソフトウエアが時代遅れになってしまう主な理由のひとつです。極端になりすぎて、操作ボタンがどれなのかをクリックしないと見つけられないものもありました。しかしながらUIデザインの新しい方向性を探究しながら、型破りなGUIデザインを可能にしたものも多く存在しました。Margaret Trauthの「Contragravity」は使いやすく楽しいフェイスで、私のお気に入りのひとつです:

また情報フィールドに記載のURLがいまだに有効な、貴重なフェイスのひとつでもあります。フェイスに含まれているURLやメールアドレスはほとんどが期限切れや放棄されています。約20年前に作成されたことを考えると当然かも知れません。フェイスアーティストが多くの時間と労力を費やしたすべての作品がインターネットからほとんど消えてしまったと考えるととても悲しいことですが、人々は変化し、新しい興味を発見し、その過程でインターネット・アイデンティティを再発明します。

私たちも大きく変化しました。今でも最高を信じてMac用のシェアウエアをいくつか開発していますが、携帯ゲーム機Playdate(プレイデート)の様な新しいエキサイティングなものに取り組んでいます。これが可能なのは企業として常に前を向き、次の課題を模索し続けているからです。一方でAudionは私たちの過去の重要な部分であり、フェイスを再び生き返らせることにとても興奮しています。

さらに

Audion保存プロジェクトはここで終わりません!

昨年3月のブログ公開後、何人かのフェイスアーティストと連絡を取り、彼らがいくつかの楽しい情報を共有してくれました。

2001年、Joel DayはAudionのフェイスを作成するための開発ツール「FaceEdit」を公開しました。このアプリはクラシックMac OSでのみ機能しますが現在、製品版が無償で公開されています — もちろん支払いを希望される方はどなたでもGitHub sponsorsを通じて送金できます。新しいフェイスを作ってみましょう!

さらに、永らく知られていなかった驚くべき歴史の一部を。Paul Johnson、先ほど紹介したTokyoBayフェイスの作者は、キャンセルされリリースされなかったAudion 4のためのデフォルトフェイスのモックアップを送ってくれました。これまでに見たことがないものです:

最後に

Audionと、多くのフェイスについて楽しんでいただければ幸いです。残りのフェイスの変換が完了したらTwitterでお知らせします。

2021年、皆さんにとって明るく楽しく有意義な1年になりますように。

Posted at 10:27 pm “フェイス”フォワード はコメントを受け付けていません
10月 26th, 2020

数千人のテスターによってほぼ1年間に及んだベータテストを含む長い開発期間を経て、ついにその時が来ました。私たちの考える、macOSでのみ利用できる未来志向の次世代コードエディタ『Nova』の誕生です。

未来はここから

ゼロから書き直されたNovaは軽く軽快、柔軟で高い拡張性を誇ります。あなたがエディタに期待するすべての機能を備えた、最新で最速のエディタを目指して設計されました。カスタマイズ可能なユーザインタフェース、堅牢な拡張エコシステム、ローカルでのプロジェクト開発もサーバ項目を直接操作して開発することも可能です。ビルトインのターミナルにTransmit譲りのファイルブラウザも搭載。ビルドや実行などの今日の複雑なウェブワークフローにマッチするよう設計されていますがもちろん、静的なウェブサイトの構築でも威力を発揮します。

ぜひあなたのMacで、30日間の無料試用版をお試しください。

Novaウェブページを訪れる

所有し、活用していく

Novaは¥11,800で、買切りのライセンス形態です。期間を経て期限切れになるようなことはありません。また新機能や修正のためのアップデートが無料で提供される1年間の権利も含まれています。必要に応じて年額¥5,900でアップデート権を翌年以降も更新することができます。これは完全にオプションで、必要と感じられる新機能の追加時や、ご都合の良いタイミングで更新されてもまったくペナルティなどは無く、問題ありません。

Novaを今すぐ購入する

すべては始まったばかり

Novaには今後を見据えた大きな計画が待っています。まさに、すべては始まったばかりです。

気になることがありましたらまずは Panic ライブラリをご参照ください。よくある質問と回答など、役立つエントリがまとめられています。それでも解決できない場合はヘルプページからどうぞ。

お楽しみいただければ幸いです。未来へようこそ!

Posted at 8:02 pm Novaをご紹介します。 はコメントを受け付けていません
3月 12th, 2020
 

Panic Podcastのエピソード4  Audion & On を公開しました。これは私たちの新しい試みのひとつです。本社で収録され内容のすべてが英語ですが、エピソード内容がテキスト(各回の”Episode transcript”がそれです!)でも公開されています。ぜひPodcastページにアクセスし “Play Now” ボタンを押してみてください。

A screenshot of the podcast page, displaying audio controlled by an Audion face.

私たちはリスナーの皆さまに、Audionの素晴らしいフェイス機能をご自身で体験する機会を提供したいと考えました。ポッドキャストでどれだけうまく説明しても、すべてを伝えることは難しいです。フェイスは視覚的なだけでなく、インタラクティブです。

これらはまた、私たちパニックの歴史を語る上で重要な部分であり、10年以上もの間、今日のコンピューティングデバイスからはアクセスできないものでした。 21年前にAudionがローンチしたときは最先端のテクノロジーでしたが、最新のWebブラウザへの移植は複雑なプロセスでした。 今回の記事では、フェイスがどのように機能するかを紹介し、またWebに持ち込むのに必要だったことについて触れたいと思います。

画像と描画

基本的にAudionのフェイスはベースとなる画像で構成され、その上に小さな画像パーツが描画されます。基本画像にはフェイスの背景だけでなく、すべてのボタンとUIインジケータが含まれます。

The base image for Smoothface Original.

Audionのボタンには押された時や無効になった時、マウスポインタがボタンの上にある時など、異なるアピアランスを持ちます。それらは個々に画像データがあります。

The disabled buttons for Smoothface Original.

アニメーションの各フレームでは最初にベース画像が描画され、その上にボタンが描画されます。

SmoothFace original with the stop button disabled.

他のUIエレメント—UIインジケータ、再生時間、トラック番号と様々なアニメーションフレーム—はフェイス上に描画されます。フェイスではストリームに接続している時、再生している時、またストリームが混雑している時にアニメーションを表示することができます。フェイスのデザイナーはこれらのアニメーションに好きなだけフレームを使用でき、アニメーションの速度を制御することも可能です。この柔軟性のために各アニメーションフレームは独自画像として保存されます。

Animation frames for Smoothface Original.

ここまでに関して、画像を描画することは最新のWebブラウザでは難しくありません。 ただし、フェイス自体はクラシックMac OSファイル形式を使用しており、今日では十分にサポートされていません。

昔話

AudionはクラシックMac OSアプリとしてスタートし、当時のほとんどのMac OSアプリと同様、リソースフォークを使用してアセットを保存していました。リソースフォークはファイルに関連付けられたメタデータを格納するために設計されたMacintoshのみのテクノロジです。クラシックMac OSのすべてのファイルにはデータフォークとリソースフォークがあります。アプリの場合、データフォークには実行用のマシンコードが含まれ、リソースフォークにはアプリで使用されるアイコンや画像、サウンドおよびテキスト文字列が含まれています。これによりWindowsアプリは通常、複数のファイルで構成されるのに対し、Macアプリでは単一ファイルとして配布することができました。

Audionの発売から1年後、AppleはMac OS Xの最初のパブリックベータ版をリリースしました。リソースフォークはまだサポートされていましたが、Appleはその使用を推奨しなくなりました。代わりに、パッケージの使用を促進し始めました。パッケージはmacOS上では単一のファイルのように見える特別なフォルダで、他のシステム上では通常のフォルダのように見えます。それらはリソースフォークと同じ目的を果たし、ほとんどのユーザはその違いに気付かないでしょう。しかし、より知識のあるユーザはリソースフォークを古くて時代遅れのソフトウェア実装と見なし始め、Appleの新しいテクノロジーへの移行を開発者に迫り始めました。

2003年、Panicの卒業生であるLes PozdenaはAudionのフェイスをリソースフォークからパッケージベースに変換するアプリを開発しました。が、程なくしてAudionは開発を中止したため、これらのパッケージベースのフェイスは使用されませんでしたが、フェイスコンバーターのコードはPanicのソースコードアーカイブに残りました。ChristaがAudionについてポッドキャストで紹介するための準備をしていると聞いた時、私たちのページにAudionのフェイスを追加するというアイディアがすぐに思い浮かびました。が、フェイスがどのように機能するかが当時はわからなかったので、Lesの残してくれたコードは非常に貴重な出発点となりました。

コンバーターのアップデート

Lesのコンバーターはほぼ完成していました。リソースファイルを開き、画像とその座標を抽出し、PICT画像形式から現在広く使用されているPNG形式に変換できます。ただし、最新バージョンのmacOSで実行するにはコードを更新する必要がありました。コンバーターが作成されてから、現在のmacOSでは削除されたいくつかの関数が使用されていました。コンバーターはUIインジケータもサポートしていなかったので、Smoothface 2のような多くの新しいフェイスには適用できませんでした。しかしありがたいことに、フェイスファイル自体にフォーマットの説明が提供されていたため、不足していたものを簡単に準備することができました。入力できました。

The template description for a face resource.

数時間の作業の後、Audionフェイスアーカイブのフェイスに適用すると、うまく変換されないものがありました。フェイスの一部で、アーティスト名とアルバム名のテキスト色を誤って使用されているものがありました。これらのフィールドはオプションでスタイルの設定が可能でした。テキストの色、スタイル(太字、斜体など)と、Transferモードが含まれていました。ポッドキャストページのどのフェイスも、この特別なTransferモードを使用していませんが、それらについてご興味があればぜひ、Inside Macintosh: Imaging With QuickDrawをご一読ください。

Web用にフェイスを変換するには、さらにいくつかの変更を加える必要がありました。HTMLの<canvas>要素に描画する際、再描画をできるだけ少なくすることでパフォーマンスを向上させることができます。Audionでは透明度を忠実にするため、ベース画像から始まるすべてのフレームでフェイスを再描画していましたが、最新のコンピュータでこれは必要ありません。そのため、コンバータでベース画像からボタンとインジケータを切り取ることにしました。これにより、ベースとボタンを別々に描画できます。

The base image for Smoothface Original with its buttons and indicators cut out.

Webでフェイスを表示させる上での最も難しい部分はテキストレンダリングです。これには2つの理由があります。 1つ目は、多くのクラシックMac OSのフォントには、画面にフォントを描画する時に使用されるビットマップグリフのセットと、印刷時に使用されるアウトライングリフのセットが含まれていることです。 ビットマップグリフは低解像度の画面で見栄えがよくなるように設計されており、アウトライングリフよりも描画が高速でした。最新のOSではアウトライングリフのみを使用しているため、テキストの外観が大きく異なります。これは2001年が大きな節目で、MacOS X上ではAudionのテキストは、クラシックMac OSとは異なって見えました。さて、HTMLの<canvas>要素ではテキストレンダリングをほとんど制御することができず、各Webブラウザはテキストを個々に異なる方法で描画します。当時のAudionの記憶通りにはページ上では表示されません。

Text rendering on Classic Mac OS.Text rendering on the podcasts page.

2つ目の問題。これは多くのAudionフェイスがカスタムフォントを使用しており、これらのフォントの一部はWeb用に変換するのが難しい、と言うことです。 MacのPostscriptフォントはそのフォントデータをリソースフォークにも保存します。これらのフォントを他の形式に変換するツールは多々ありますが、一部を正しく変換できません。完璧に変換するには、特注のツールを作成する必要がありそうです。 アーカイブ内のフェイスでは計95のユニークなフォントが使用されており、すべてを変換するには多くの時間がかかります。

隠し要素

フェイスのすべての画像がWebプレーヤ使用されるわけではありません。たとえば、Audionがバックグラウンドにあるときに使用されるフェイス画像の適切な使用法が見つかりませんでした。またAudion 1の、ドラッグ中のフェイスの輪郭を描くために使用されたビットマスク画像は、これらの画像の中で最も興味深いものでした。

一部のフェイスデザイナーは、この画像を使用して作品に署名していました。

A drag region image with the artist's signature.

またある人は、ドラッグ領域を使用して隠しメッセージや隠し画像を含めていました。

A drag region image with the message, "expose what lies beneath."

SoundJamがAudionフェイスのサポートを最初に追加したとき、彼らは誤って透明化のためにドラッグ領域のマスクを使用し、これらのメッセージがフェイスから切り取られてしまう原因になっていました。このため、一部のフェイスデザイナーは、ドラッグ領域でAudionの広告を表示していました。

未来のために

これらのフェイスをポッドキャストページで見せることは素晴らしいことですが、将来のためにそれらを保存することも重要です。私たちのアーカイブ内のフェイスのいくつかは特に、現代の状況では攻撃的ですが、将来の歴史家にとって役に立つかもしれません。

しかしながら時間の経過と共に、これらのフェイスの維持が難しくなっています。macOS CatalinaではリソースフォークとPICT画像を使用するためのサポートが削除されているため、このフェイスコンバーターは既にこのOSで動作しません。これらの形式を読めるようにするサードパーティ製ライブラリがありますが、現在の、そして将来のmacOSをサポートするにはさらに多くの作業を行う必要があります。

ひとまず、Audionのフェイスを変換してアーカイブ化する準備が整いました。もしアーカイブに含まれていないフェイスがありましたら、私までお知らせください

楽しい時間

このプロセスにより、アーカイブ内の多くの素晴らしいAudionフェイスを再度見つめることができ、とても楽しかったです。カスタマイズ可能なソフトウェアインタフェースを設計しない理由はいくつかありますが、それを可能とするアプリは常に、私の心の中で特別な位置を占めます。それらはただ楽しいだけでなく、パーソナルコンピューティングをよりパーソナルにしてきました。

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。ここまでお読みになるあなたはAudion好きで間違いありません。フェイスがどのように機能するかについて楽しんでいただけたでしょうか。残りのフェイスを変換し、いくつかのクールな結果を披露して、進行状況を詳しく説明するフォローアップを数ヶ月後に投稿したいと考えています。

お楽しみに!

Posted at 7:51 am “フェイス”を継承する はコメントを受け付けていません
7月 31st, 2019

こんにちは。古くから私たちをご存知で、私たちの製品をお使いいただいている方にはお馴染みの製品について、今日はちょっとした — しかし重要な — アナウンスをさせていただきます。

次世代Mac用コードエディタがまもなくです。

本当に長らくお待たせしている、私たちも待望の次世代Codaについて、まもなく皆さんにお披露目できるところまでやってきました。

そして、名前が Nova になります。

私たちのMacネイティブな次世代コードエディタ『Nova』はプライベートβテストに入ります。現在、テスターを募集しています。ぜひお手伝いいただければと考えています。あなたの日頃のエディタ使用環境を参考にさせてください!それは私たちのエディタをより良くするために必要です。

Nova βテストページへ

よくある質問と回答:

なぜ “Nova” に
Novaは劇的なアップグレードで、全面的に書き換えられました。よって新しいアイデンティティを与えることが適切だと感じました。

では、Codaは使えなくなりますか?
Novaは既存のCodaを置き換えるものです。しかしCodaを継続して利用したい方を私たちは止めません!実際、macOS Catalina に対応させるためのCodaアップデートを計画しています。また重大なセキュリティに関する問題が見つかった場合にも、常にアップデートし対処するでしょう。もしCodaの購入をご検討中の方がいらっしゃいましたら、今がその最後のチャンスになります。

Novaの価格は?
現在、それについて検討中です。なんとなくですが、買い切りモデルで毎年アップグレードを提供したいと考えています。また既存のCoda 2ユーザの皆さんにディスカウント価格を準備したいとも考えています。

NovaはMac App Storeで提供されますか?
サードパーティのライブラリや拡張への依存度が高いため、またサンドボックス化による妨げから、Mac App Storeで配布されません。

iOS用エディタについてもお知らせがあります。

私たちはiOS用のコードエディタについても新バージョンの開発をスタートさせました。出荷はNovaと同時にならず、また完全なコピー製品にもなりません。CodaとTransmitの持つ優れた機能性をバランスよく搭載した、外出先での作業に役立つツールにしたいと考えています。

それまでの間、市場に現れたが coda.io と区別するため、私たちのiOS用エディタを “Code Editor” とリネームしました。私たちの製品ですのでご安心ください!

Posted at 5:51 pm Nova, 次なる大きな出来事。 はコメントを受け付けていません